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  • 執筆者の写真Taro Okamoto

怖い体験の後に

更新日:2021年10月12日



先日は、久しぶりに関東に大きな地震が起きましたね。

関東圏にお住いの皆さんは、不安な一晩を過ごされたと思います。

立ちあがるのに困難を感じるほどの揺れを感じたのは、東日本大震災以来でした。



揺れも怖いのですが、緊急地震速報もなかなか恐怖をあおってくれるなと思います。

あの不協和音、できるなら聞きたくないなあ。

だからこそ、警報としての効果があるんだと思いますが・・・

震災の記憶や感覚とも結びついているのかもしれません。



僕はとっさに近くの窓を開けて、部屋の真ん中で揺れが収まるのを待ちました。

もし玄関が建物のゆがみ等で開かなくなったら、と思ったのと、密閉された部屋の中でひとりだと、より恐怖心が膨らんでしまいそうだったからです。

外とのつながりや様子を知る上でも開けておきたいと思いました。

そして、頭は冷静に行動しようと考えつつも、からだは微細に震えていました。



ニュースをみて情報を集めたり、ラインで友人や家族と安否確認やコミュニケーションをとったり、大きな余震に備えて充電や荷物を備えているうちに、震えや恐怖心、不安感も少しずつ静まっていったような気がします。





このような状況で、不安や恐怖があるのは生き物として自然で正常な反応です。

ただ、不安や恐怖はありつつも、あまりそこに飲み込まれすぎないようにはいたいですね。

こういうとき、気持ちの平静を保ったり、安心していくためにどんなことが効果的か、自分を振り返りつつ考えてみました。



脅威の最中で意識するのは難しいかもしれませんが、呼吸を止めないことは一つのポイントだと思います。恐怖を感じるとき、人は呼吸が止まります。高まった緊張を外に逃がすように、ゆっくりふーっと息を吐くことで、自然と空気が身体に入ってきます。また息を吐くことで、リラックスを司る副交感神経が賦活されます。



また、外側の現実に意識を向けること(不安や恐怖の気持ち・イメージ・想像に意識を向け続けないこと)も大切だと思います。僕の場合は、すぐ窓を開けて、またネットのニュースをつけて情報収集しました。またすぐに友人や家族と連絡を取りました。一人でせまい空間で対処しようとすると、どんどん不安や恐怖が膨らんできそうな気がしたからです。外の音や人の声が聞こえたこと、外気が入ってきたことで、そういった悪循環にはまり込まずに済みました。



震えは、脅威を感じた時に起きる、動物の自然な身体反応です。

野生のガゼルはライオンに襲われて逃げ延びた後、しばらく身体全体で震えるそうです。この震えは、命の危機に対応するために身体から発せられた興奮、エネルギーを振り落とすために行われます。震えた後は何事もなかったかのように群れに戻ります。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の心理療法でも、身体の震えは回復のプロセスとして重要視されています。



震えは、どこか不快な気がしたり、人に見せたくない、恥ずかしいなどのネガティブなイメージを持ちやすいと思います。しかし、このように生き物の理にかなった現象なので、もし安全な状況で震えに気づいたら、無理に止めようとせずに「ああ、私は怖かったんだな」と、震えを感じながら自分をいたわってあげてほしいと思います。呼吸と一緒に、震えを外に解放してあげましょう。涙や感情が出てくるのも、自然なプロセスです。



そして、他者とのコンタクトや、触れ合いが最も安心感をもたらします。

地震の直後に連絡を取った友人は、ウサギを飼っていたのですが、揺れた時はパニック状態で、収まってからもカゴの隅っこで固まっていたそうです。撫でてあげたら、安心したのかリラックスして熟睡したと話していました。

またツイッターで見た話ですが、地震で不安がった猫達が、珍しくその晩は飼い主のベッドに集まってきて眠ったそうです。



動物(哺乳類)も人間も、恐怖を感じた時は誰かと一緒にいたりコミュニケーションをとることで落ち着けます。身体の触れ合いがあるとより安心します。近年の自律神経の理論でも、社会的な関与-つまり他者とのつながりが、安心感をもたらすと言われています。

家族や恋人、友人、ペットなどが近くにいるなら、気持ちをシェアしあったり、ハグや触れ合ってお互いをケアしあえるといいと思います。

もし近くに人がいなくても、ラインや電話などでコミュニケーションをとることで、安心感を得られると思います。テレビやラジオで人の声を聴くだけでも少し違うかもしれません。





おそらく、皆さん言われなくても自然にやっていることが多いと思います。

誰かに教わらなくても、生き物として行っている自然の知恵があります。

ただ、文化的な価値観やこれまでの性格の在り方などから、自然なプロセスを抑えたり、一人で恐怖を抱え込んだりしやすいこともあるでしょう。

一つの考え方、セルフケアとして、良ければ参考にしていただければと思います。



しばらくは余震が続くかもしれません。できる範囲で、心と身体の安心・安全を守りながら過ごしていきましょう。





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